家具づくり、そしてモノづくりについて考える。
國本建築堂はどういう家づくり・モノづくりを目指しているのだろう。
クライアントにどういう暮らしを提案し、心地よく暮らすための家を提供できるのか。
ここ数年そのことについて話合っているときに必ず行きつく先はシェーカー家具の話。
シェーカーと言えばインテリア好きなら必ず知っているのがオバールボックスですね。
シェーカー家具というのは19世紀を中心にアメリカで活動した清教徒シェーカー達の自給自足の共同生活から生まれた様式の家具なのですが、特徴としては全ての労働は神に捧げ、神と共に生き、簡素で規則正しく、機能的なものでした。
シェーカーについての本を買って読んでみたりして、いつかアメリカのハンコックシェーカービレッジに行ってみたいという思いは募りますが、もう少しきちんとシェーカーについて理解した上で行って感じてみたいという思いから、先日京都で長年シェーカー家具を作り続けている宇納さんのもとを訪ねました。
最初に通されたご自宅は宇納さんの手作りでいっぱいの空間でした。
階段、壁の張り方、家具どこを見てもワクワクが止まらない生活を感じる空間でした。
レバノンロッキングチェアやエンフィールドチェアなどに一通り座らせていただき、
宇納さんの解説付きの数時間、本当にあっという間でした。
その中で目からうろこのような話がいくつもあり、私の家具に対する考え方にまた少し方向転換が加えられました。
ここに書き記すかを悩みましたが、これは宇納さんの言葉であって私の言葉ではないので、やはりご興味がある方には是非宇納さんの元を訪れて聞いてほしいと思います。
文章力のない私が、私なりの解釈でここに書いてしまうとそれは違う意味になってしまうかもしれないですし、宇納さんの経験や考えをご本人に直接聞く事が、とても大切だと感じたからです。
今回家具が好きな高校2年生の息子を連れていきましたが、ちょうど彼は今進路に悩んでいてそのお話も少しだけ宇納さんに聞いてもらいました。今日初めて会った高校生の男の子の突然の悩み相談にも真剣に宇納さんの経験や考えをお話ししていただいた事で、彼の中でいろいろなことが整理できたようです。
私たち親の方も思うところがあり、その後帰宅して数日じっくり彼と話し合いました。
モノづくりをされている方に会いに行くと、モノ自体の事も勿論奥が深く味わいのある話ばかりなのですが、心に残るのはいつもその方の人生のお話しだなぁと感じます。
そしてどんな人が作っているのか知ったうえでその商品を手にすることができるというのはこの上ない幸せだなと思います。
工場での量産品では味わう事の出来ない幸福感がそこにはあると思います。
やはり私たちは家づくりも、モノづくりも作り手が見える、愛着の湧く、使い捨てではなく持続可能であることを大切に思う事をベースにこれからも考えていきたいと強く感じました。