七軒島の家|國本建築堂|尾道の住宅設計デザイン工務店
RENOVATION

七軒島の家

生活のしやすさで選ばれる島、向島

尾道への移住を考える方の間に、いま特に人気が高まっているのが、尾道市街地の対岸に浮かぶ向島です。中でも今回リノベーションを手がけた七軒島エリアは、学校や商業施設、図書館などが徒歩圏内に揃い、子育て世代からシニア世代まで暮らしやすい環境が整っています。海と坂のまち・尾道らしい景色を残しながら、日々の生活のしやすさも叶えられる。そんなバランスの良さが、このエリアの人気の理由なのかもしれません。

築58年、耐震改修も合わせて

今回のお施主様が購入されたのは、昭和43年築、築58年になる中古住宅でした。ご要望を伺う中で、尾道市の補助金制度を利用した耐震改修も合わせて行うことになりました。

おじいさまの形見、イームズのラウンジチェアのある家

打ち合わせの中で、とても印象に残っているご要望があります。奥様のおじいさまの形見として長く大切にされてきたラウンジチェアを、リビングに置きたいというお話でした。

見せていただいたのは、家具好きなら誰もが一度は憧れる、イームズのラウンジチェアとオットマン。使い込まれた色艶に、長い年月が刻んだ味わいがあり、それだけでとても素敵な空間になる予感がしました。

さらに「壁一面に本棚をつくりたい」というご要望も重なり、このラウンジチェアと本棚が主役になる部屋のイメージが、打ち合わせの中で自然と膨らんでいきました。ご家族の歴史を受け継ぐ家具を中心に据え、そこに本棚の佇まいが加わることで、リビングは単なる団らんの場ではなく、ご家族の時間そのものを表す空間になっています。

この家のために誂えた、ダイニングテーブルと照明アーム

この住まいならではのこだわりが、家具そのものを空間のために誂えたことです。ダイニングテーブルは既製品ではなく、サイズも変更できるフラップアップのテーブルを製作しました。今回は担当大工が作成できるデザインをデザイナーの村澤一晃氏と共にワークショップ形式で考えていきました。ご家族で食事を囲む日もあれば、テーブルを寄せて広く使いたい日もある。決まった置き方に暮らしを合わせるのではなく、その日の過ごし方にテーブルの方が応えてくれる、そんな家具です。

照明も同じ考え方で、向きを自由に変えられるアームを鉄でつくりました。食卓をしっかり照らしたいとき、光を少し脇にずらして空間全体をやわらかく見せたいとき、アームの角度ひとつで光の表情を変えられます。無骨な鉄の質感は、イームズのラウンジチェアが纏う経年変化の艶とも不思議と馴染み、使い込むほどに味わいが増していく道具としての手触りを、ダイニングに添えています。

夫婦それぞれの仕事場、ラボのような空間

もうひとつ、このご家族ならではのご要望が、ご夫婦おふたりとも自宅でデザインのお仕事をされているという点でした。

生活の時間と仕事の時間を、きっちりと壁で仕切るのではなく、緩やかに区切ることができるスペース。そんなイメージから、住まいの中に「ラボ」のような空間をつくることを目指しました。LDKとはゆるやかに距離を置きながらも独立しすぎない位置に設け、デスクの背面には収納をたっぷり確保。仕事道具に囲まれながらも、生活の気配を感じられる、この住まいらしいワークスペースが生まれています。

暮らしの動線にも、細やかな工夫を

大きな要望を叶えるだけでなく、日々のちょっとした動作もリノベーションの中で見直しました。洗面からユーティリティ、浴室へと続くエリアは、朝の身支度がこの一角だけで完結するように計画。キッチンやユーティリティから直接出入りできる広々としたウッドデッキは、洗濯物を干す場としてはもちろん、天気の良い日には屋外で食事を楽しめる、暮らしに余白を与えてくれる場所になりました。

BEFORE


INFORMATION
K様邸 リノベーション
所在地:尾道市
敷地面積:
延床面積:101.11㎡((30.58坪)
(家族構成)夫婦、子1人