温熱性能
Technical
一年中快適に過ごせる家
家の中の温熱環境は健康かつ快適に暮らすうえで欠かすことのできない要素です。単に、高気密・高断熱であれば良いだけではありません。その土地の環境や、お客様の過ごし方に合わせて、空気の循環や日光の取り入れ方、素材の選択等、様々な面から一年を通して心地よいと感じられる温熱環境を設計していきます。
1.断熱性能
高気密・高断熱の家を作ることで、冬は室内の暖かい空気を外に逃がさず夏は外の熱の侵入を防ぎ、1年中快適に生活することができます。また空調機器の使用頻度を減らせるため省エネにも繋がります。そのため、國本建築堂ではHEAT20のG1・G2をご提案しています。
1-1.HEAT20とは
HEAT20は、2009年に住宅業界の関係者や研究者などによって発足した団体「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」のことをいいます。そして、この団体が日本国内を8つの地域に区分し、それぞれの地域に適した断熱性能の推奨水準をグレードとUa値を使って提唱しています。断熱性能基準はHEAT20以外にもZEHや建築物省エネ法に基づく平成28年省エネルギー基準(H28省エネ基準)などがありますが、断熱性能の主要素であるUa値基準が最も厳しいのがこのHEAT20です。そのためより高レベルな断熱性能が期待されています。
1-2.HEAT20が提唱する断熱性能

※Ua値とは
断熱性能を表す際の指標で、下記計算式で「どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を表しています。Ua値が低ければ低いほど熱が逃げにくい。つまり、断熱性能が高いことを示しています。
Ua値(外皮平均熱貫流率) = 熱損失量(w/k) ÷ 外皮面積(㎡)
2.断熱材(セルロースファイバー)
セルロースファイバーは、原材料の約80%に新聞紙を使用した自然素材の断熱材です。新聞紙は、もともと木質繊維を分離したパルプから作られているため木と同じ性質を持っています。そのため、セルロースファイバーは、グラスウールなどの無機繊維系断熱材にはない自然素材ならではの多くの特徴を持っています。國本建築堂では、住まい手の身体に優しく、住環境も整えてくれる断熱材としてセルロースファイバーをお勧めしています。

特徴① デコスドライ工法
安定した断熱性能を保証するために、施工時にはデコスドライ工法施工代理店の認定資格を持った技術者が責任施工で担います。
特徴② 断熱性
複雑な壁体内の形状に対しても隙間なく断熱材を充填できるため、冬は室内の熱を逃さず、夏は屋外からの熱を防いでくれます。そのため室内の温度差を少なくし快適に過ごすことができます。
特徴③ 調湿性
セルロースファイバーは木質繊維であるため、調湿性能にも優れています。室内の湿度が高いときは湿気を吸い、乾燥したときは水分を放出してくれます。冬の結露や梅雨時のジメジメも解消してくれます。
特徴④ 吸音性
セルロースファイバーの細かい繊維が高密度で隙間なく充填されているため、遮音・防音効果に優れています。日常の生活音や屋外からの騒音を和らげてくれます。
3.サッシ・木製窓
窓などの開口部は、躯体部分よりも熱を通しやすいため、その仕様次第で室内の温度に大きな影響を与えます。そのため、室内の温度を快適に保つためには、断熱材だけでなく窓の断熱性もしっかり高めてあげることが重要です。國本建築堂では、意匠性に配慮して木製窓を取り入れる箇所がありますが、ほかの窓を断熱性能のよいものにすることでG1・G2性能をクリアすることができます。また、木製窓で心配される結露予防の措置も行っています。
3-1.木製窓枠

木製窓は意匠性に優れているだけではなく、熱伝導率が低いため断熱性に優れています。そのため結露が発生しづらいです。また、アルミや樹脂サッシは開口部の大きさに限界がありますが、木製窓の場合大開口を設けることができます。部屋の間取りに合わせて大開口を設けることができるため、部屋と庭が一体となったような広々とした空間を演出できます。
3-2.アルミ樹脂複合サッシ

木製窓枠を使用しない箇所においては、年間を通して変化する気候から室内環境を一定に守るため、室外側には耐久性に優れたアルミ、室内側には 断熱性・遮音性に優れた樹脂を採用したアルミ樹脂複合サッシを使用します。樹脂素材は熱が伝わりが小さいため結露予防の効果もあります。
3-3.Low-E 複層ガラス

Low-E複層ガラスには、遮熱タイプと断熱タイプの2種類あり、窓の位置や周囲の状況・気候に合わせて使い分けます。断熱タイプは、しっかり断熱しながらも太陽の暖かさを取り込んでお部屋を暖かく保ちます。遮熱タイプは、断熱はもちろんのこと、明るさを取り込みながらもガラスに当たる日射熱を遮り、室内を涼しく保つタイプです。西日対策や紫外線による室内の色あせ防止になります。
4.開口部と日差し
建物の外部環境や室内での過ごし方などを考慮して、冷暖房機器や日よけなどを無駄に使うことなく快適に過ごせる空間づくりを行っていきます。
4-1.開口部の位置

開口部の位置は、自然光や風、景色、外部からの視線などの取り入れ方をコントロールし、室内の居心地の良さを左右する大切な要素です。外部環境や室内での過ごし方などに配慮し、適切な開口部の取り方を計画していきます。例えば、日中過ごすことの多いリビングやダイニングの場合、日中は電気を点けることなく、またカーテンで日差しや外部からの視線を遮る必要もなく快適に過ごせるよう配慮します。
4-2.日差しのコントロール

日射の角度を計算して軒を深くとることで、夏の強い日差しはカットし、冬の暖かい日差しは取り入れるようコントロールします。軒下空間をつくることで、日差し以外にも、雨が降り込んでくるのを防げたり、外気温の影響を緩和してくれる等の効果があります。このように自然の力を最大限利用し、過剰な機器設備の稼働を削減する工夫を行っています。
5.無垢材・自然素材

自然素材は家の意匠性を高めてくれるだけではなく、機能面においても様々なメリットがあります。人工的な素材の使用を減らすことで建材から発生する化学物質を抑制するとともに、調湿効果や脱臭、防音効果によって室内環境を整えてくれる機能があります。
例えば、床材に無垢フローリングを使用することで、夏は空気中の湿気を吸収し、冬は吸収した水分を排出して室内の湿度を一定に保とうとしてくれます。また、合板フローリングと比べて断熱効果があり、冬の足元の寒さを和らげてくれます。
國本建築堂では、それぞれの自然素材の特性をしっかり把握したうえで、お客様のニーズや家の仕様に合った素材選びを行っています。
6.薪ストーブ・床暖房
炎のゆらぎを見ながら過ごす空間はとても豊かです。薪ストーブは、家の形状にもよりますが、家全体を温めてくれるため過剰な暖房機器の使用を減らすことができます。設置するうえでのメリット・デメリットや維持管理の方法や費用などについて丁寧に説明し、導入する場合は薪ストーブの機能が十分に生かされるよう配慮しながら設計を進めてまいります。
6-1.薪ストーブ

炎のゆらぎを見ながら過ごす空間はとても豊かです。薪ストーブは、家の形状にもよりますが、家全体を温めてくれるため過剰な暖房機器の使用を減らすことができます。設置するうえでのメリット・デメリットや維持管理の方法や費用などについて丁寧に説明し、導入する場合は薪ストーブの機能が十分に生かされるよう配慮しながら設計を進めてまいります。
6-2.床暖房
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ向かう性質があるため、エアコンの場合、暖かい空気が上にたまってしまい足元が冷たくなってしまうことがよくあります。そこでお勧めなのが床暖房です。床面を暖かくし、エアコンよりも温度にムラがないため、必要な個所を効率よく温めてくれます。