「調和」と「コンセプト」
異なる意味を持つ言葉ですが、そらぞれに「全体的な統一性やバランス」といった共通する要素があります。「自然と調和した生活」であれば、自然環境に配慮した素材やデザイン、機能などを採用し、全体として「自然との調和」が取れた状態を目指すでしょう。
ー四季の移ろいと自然の力強さを身近に感じながら、
日常の喧騒を離れホッとできる時間と空間を楽しめるコの字型の家ー
中庭を囲う程よい距離感の2 世帯住宅平屋。
近くに住んでいてくれるのが安心という息子夫婦と自立した暮らしをしたいというお母様の思いから、中庭が両世帯の程よい距離感を保ちつつ繋がりを確保してくれる設計。棚田だった敷地の高低差70cm を活かし、中庭を囲う2 世帯住宅を計画。段差が程よくプライベート空間を優しく仕切っている。
ここにある自然環境( 光・風・植物・借景) を最大限に活用し、それに馴染む自然素材( 焼杉・無垢材・珪藻土・石) を導入した。
山並みに溶け込む切妻屋根を採用し、外壁には緑の木々のなかで主張しすぎない広島県産の焼杉材を使用。焼杉は基本的にノーメンテナンスで、環境にも、住む人にも優しい素材である。
内装は経年劣化を趣として楽しめる自然素材を使用しているため、素材の更新頻度を下げることができ、継続的に管理しやすく、愛着を持って⾧く住み継がれる住まいとした。
暗くなりがちな平屋の室内を明るく照らす高窓は道路に面する南側にはリビング開口を設けず、自然の景色だけを楽しめるように北側と東側に開口を設計。プライベートが守られ、周囲を気にすることなく解放することができる。さらに高窓を設けることで、朝の日差しがたっぷりと入る明るいリビングになった。
高さのあるッドデッキで浮遊感を演出周囲の自然との調和を考えて石積みは残している。中庭は石やコケを敷いて水面に見立てた枯山水にして、高さのあるウッドデッキからを見下ろす眺めを演出している。
空調には熱効率の高い薪ストーブを採用し、再生可能エネルギーの利用割合を高め、
環境に優しい住まいとした。薪ストーブの前に座り、炎の揺らぎや薪が燃える音を聞きな
がらゆっくり過ごす時間は最高のリラックスタイムである。
水回りはコンパクトにまとめた家事動線とし、洗濯や収納など「ながら動線」で家事
の動きを最小限にしいる。4 箇所の個室に分かれた寝室は広さも様々なため、その時々のライフスタイルに合わせて、使い方を変えていくことができる。
photography しんめんもく 後藤 健治